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読書感想文:中原清一郎さんの小説「カノン」

生きる意味を考えさせられた本

中原清一郎さんの小説「カノン」


 この物語は脳間海馬移植という架空の海馬移植をテーマにした物語です。

 

末期がんで余命1年を宣告された58歳の寒河江北斗と記憶を失い病に侵された幼い子供をもつ氷坂歌音の2人が、

 

男は延命のため、女は子供のために脳間海馬移植によってお互いの体に入れ替わる物語です。


 主に歌音の体に入った北斗の目線で物語は描かれていきます。

 

もとは58歳の男性だった北斗が歌音の体に入ったことで女性として生きることとなり、また母親としての役目も果たさなければならない状況になり、そこでさまざまな困難を乗り越え成長していきます。


 私がこの物語を好きな理由は、何のために生きたいかということを考えざるを得ないところです。

 

延命のために移植を選んだ北斗ですが、本来の性とはちがう女性として、母親として歌音の家族とともに暮らすことになり、初めは戸惑いを隠し切れません。

 

しかし、徐々に北斗のなかに歌音としての意識が生まれ始めることにより子供を守るため、家族を守るために頑張っていこうと前を向いています。

 

北斗の努力や成長、新たに芽生えた子供への愛も感動的でしたが、私が衝撃を受けたのは移植を受けることにした歌音の決断力です。

 

幼い子供には母親が必要であり、自分の体が生き続けることを望み、たとえその意識が子供のそばにいられなくても自分の体は少しでも長く子供のそばにいられる、

 

といったことを考えて自分の意識は死にゆく北斗の体に入って苦しむことになっても愛する子供のために「生きる」ことを選んだのです。

 

こんな決断私にできるのだろうか、私は今何のために生きているのだろうか。

 

そのようなことを最後までずっと考えながら、命の大切さについて改めて考えるきっかけとなった本でした。